振り返って〜40代後半からの留学〜
いよいよ帰国。
この記事はCDG空港で書いています。
空港は今までの中で一番混んでいました。イースターのためでしょうか?
また、3月27日はサマータイムへ入れ替わる時、時計が2時になった瞬間に3時になるということを確認しました。
さて、2015年4月に出国してから1年、ヨーロッパで過ごしました。幸いにして病気や怪我もせず、トラブルに巻き揉まれることもありませんでした。
振り返ってみると、いろいろなことがあった気がしますが、あっという間だった気もします。
医師になって22年間、ずっと働きっぱなしだった生活でしたがこの1年は時間的には余裕のあるときでした。
しかし、仕事としての充実感はあまりなく、やっぱり自分は働いていることが好きなんだなと感じています。日々忙しく、働く現場に戻ることが少し嬉しく思っています。
仮にもう一年このまま延長できるとしても、自分は日本へ帰って外科医として手術や内視鏡などの臨床に戻りたいですね。
通常、医師の留学というのは30代前半で行くことが多いと思います。(そしてそのほとんどが私費留学です)
30代前半というと、医師としての経験も10年前後、子供も小学生前後でしょう。
自分もその頃に留学したかったようにも思いますが、40代後半だったからこそ経験できたこともたくさんあったと思います。
本当は家族で来たかったのですが、いろいろな事情で結果として単身でした。
単身だったからこそ、やらなければならなかった炊事洗濯、特に料理はだいぶ上達したと思います。家族の大切さも改めて分かりました。
こっちにいる間に家族はもちろんのこと、両親や姉、友達も訪ねてくれましたが、久しぶりに両親と旅行をして親孝行ができたようにも思っています。
日本にいた時は、充実感はあったものの目の前の仕事に追われ、家族や両親への気配りが少なかった(なかった??)かもしれません。そういう意味でもこの1年はいろいろと恩返しできたかもしれません。
留学前に恩師から留学に行ったら ”これができる” ではなく、全て学ぶつもりでやってこいと言われ、全てを学ぶつもりで来ました。1年でいろいろと学んだはずです、きっと。
現実として、初めは慣れず職場へ行っても誰とも喋らない日もありました。
生活するのに一杯一杯だったり、結婚以来初めての一人暮らしで家事全般に苦労したり・・
生活に慣れてきて、職場でも話す相手ができてきてみると、同僚、つまり留学生たちは多くが30代でした。
自分は10歳以上年上であることもあり、外科医としての経験は自分の方が多く持っていることが周りの人たちに伝わっていきました。そんな中、自分の手術や技術、知識を教えて欲しいと言われることもありました。
ドライラボで指導したり、アニマルラボで指導することもありました。ビデオを見せながら解説することもありましたが、持ってきていたビデオがほんのちょっとだけだったのが残念でした。もっといろいろなビデオを持って来ればよかったなと思いました。
そこで、こうすればよかったと思うことや気が付いたことを挙げてみます。
生活・全般
・日本の食料品は手に入るものが多いが、米は日本のものが格段に美味しい
・日曜・祭日に店がやっていないことを不便と思ってはいけない
・言葉(フランス語)は喋れるようになっておくべき
・相手が時間にルーズでも気にしてはいけない(1時間くらい遅れることは普通)
・家族で留学に来るべきだった
・外食やパーティーなど、ヨーロッパでは常に二人単位で動くことが多い
・手続きや交渉事は、対面(目の前)で話したほうが早い
・少しでも現地の言葉(フランス語)を話すと相手の対応が良くなる事がある
・手続きが面倒なことが多く、やたらと手紙を出すことが必要
・趣味があるなら、それを継続するべき(自分は特になく、ちょっと残念でした)
・ストラスブールでは自転車があると便利(レンタルも年間契約できる)
・友達を作ることが大事(少しでも自分の味方がいた方が気持ちに余裕が出ます)
仕事(外科・内視鏡医として)
・自分の経験を伝えられるもの(ビデオとか)をもっと持って来ればよかった
・最初から積極的に話しかけるべきだった
・こういうことがやりたいと具体的に考えてくるべきだった
・どこでもしっかりとした技術があれば、それを見てくれる人、教わりたい人はいる
・日本の外科医の技術はかなり高い
(しかしそのことをヨーロッパの外科医(一部を除き)は知らない)
・国(あるいは病院、医師)によって求めているものが違う
(例えばロシアはとにかく早くやることが第一とか)
この記事が最後になると思いますが、このブログを始めた5月から今まで、延べ11,325人に読んでもらていることをこの記事を書く前に確認しました。
この記事に目を通してくれた人たちに感謝します。ありがとうございました。
40代後半になってもが張っている人がいることをちょっとだけ分かってもらえたのではないかと思います。これからもおじさんパワーで頑張っていこう!!