外科トレーニングコース2日目〜40台後半からの留学〜
2日目の最初は、7時45分からのライブ手術。
最初は、右ソケイヘルニア(Ⅰ−2)に対するTAPPでした。
腹膜切開は、日本の標準的な手技とは異なり、かなり大きく、また頭側の切開ラインでした。基本的に、手前から背側に向かって剥離していくという感じで、あまり膜を意識してという感じではなかったです。
そしてもう一例は、右ソケイヘルニア(Ⅱ−1)比較的小さなヘルニアでした。
バルーンは使わず、腹腔鏡で剥離していき、スペースができたら3mmポートを2本追加してやっていました。気腹圧の設定は、17mmHgでした。
TAPP同様、膜の意識は、日本とは違います。
ともに腹腔鏡は、10mmの硬性鏡の0度でした。
日本人は、細かい部分にこだわりすぎなのかもしれないですね。少なくともヨーロッパ基準から考えると、ですが。
その分、綺麗な手術、出来上がりの良い手術になるのかもしれませんが、患者さんの結果としては、そのこだわりは影響がない程度なのかもしれないなぁと感じました。
それから講義でした。
1つ目は、ヘルニアを中心とした話で、ロンドンのトレーニングセンター(MATTU)の責任者であるProf. Michael Bailey が話してくれました。
続いて、ベルギーのProf. B.NAVEZが胆摘の話、腹膜炎(アッペや憩室炎)の話、そして上部消化管穿孔の話をしてくれました。
上部消化管穿孔に関しては、日本の方が症例も多い印象でした。
今までのIRCADでの話を聞く限り、自分の経験数がどうとかはあまり関係なく、ランダマイズトライアルの結果だったり、論文の結果だったり、いわゆるエビデンスが治療方針を決めるという意識が非常に強いですね。
そのため、単孔式腹腔鏡手術は、いずれの先生も否定的でした。
Prof.Baileyには、手技としては面白いけど、ベネフィットがない、やっていくのは否定はしないけどねっと言われました。
午後は、アニマルラボでした。
今日は、最初にTAPPをやり、次に胃空腸吻合、最後は総胆管を切開しT-tube挿入でした。
ある程度できる人もいれば、初心者もいるというレベルのばらつきは、こういったトレーニングの宿命なのでしょうね。指導する先生たちは大変なんだなと日本にいる時と同じ感想を持ちました。